ナタヨーガ要諦

一  ヨーガの目的は瀑流する心の沈静にある。

二  ナタヨーガは心身の偏りや歪みを調整することを旨とする。

三  その方法は姿勢の流れ(シーケンス)に心身を委ね観察することにある。

四  行法の中心は姿勢であり、姿勢は動作と気づきで構成され、気づきの深まりが修行の真意である。

五  気づきをまず動作に、そして動作の結節点である姿勢に、姿勢をかたちに導く呼吸に、かたちの中心に、かたちを支えかたちが帰真せるこころへと深めていく。

六  動作と呼吸と気持ちの関係は

   気持ちが動き、身体が動き、息が入ってくる(また出ていく)。

   息が満ちて(また退き)、動作が止まり、気持ちが退いていく。

七  呼吸と気分(雰囲気)の関係は

   息を吸うとき身体が軽く浮き上がり、吐くとき重く沈んでいく。

   息を吸うとき身体が横に広がっていき、吐くとき奥に閉じてくる。

   息を吸うとき内側に引寄せてくる、吐くとき外側に突き出していく。

   息を吸うとき前に進み出る、吐くとき後ろに退いていく。

八  動作は無駄のない滑らかな動きで、原則的に一動作を一呼吸で行なう。

九  呼吸は動きやかたちの雰囲気にあった、むらのない、ゆったりとした呼吸で行う。

十  姿勢は力みがなく、伸びやかで、バランスがとれ、充実していること。

十一 どのシーケンスも、まず息を吐ききることから始まる。

十二 初心では呼吸の気分(イメージ呼吸)は自然な選択に委ね、指令は参考程度に。

十三 実修に於いては身体を強引に矯正するのではなく、身体に気づくこと、立ち居振る舞いに気づくこと、慣習的な生き方考え方に気づくこと。

十四 個々の姿勢は努力目標ではなく、実修者の今を映す鏡であることを忘れずに。

十五 実修の真意はやる(為す)ことではなく、成る(為り変わる)ことである。

十六 修行の場を聖なる空間と想定し、そのうちに自己を投入し、動作姿勢の雰囲気に心を集注して、潜在的力または超越的な力に心身を委ねる。